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ラストプレゼント


世はクリスマス。
日本の恋人たちは外でデェト真っ最中。
そして、俺は…

「みぃーなぁー」
「うるさい、誠。」
俺は、幼なじみで彼女である美奈に話しかける。
二人で迎えるのは3回目のクリスマスイヴ。
去年までは外に出かけてたけど、今年は違う。
美奈の部屋でコタツに入ってのんびりと話す。
たまにはいいじゃないか。と外に行きたがる美奈を説得してやっとこの状態。
だから、美奈はとつてもなく機嫌が悪い。
「ね、美奈。たまにはいいじゃん。こういうクリスマスも。」
「やだ。外、行きたい。」
俺は心の中でため息を付く。
「美奈、お願い機嫌を直して…?」
「せっかくのホワイトクリスマスなんだよ!」
「あぁ…そうだな。」
美奈が、俺を睨む。
そんな彼女にドキッとくる俺が馬鹿らしい。
それでも、行けないんだ。
ごめん、美奈。
すると突然、美奈が立ち上がり、どこかに行く。
「美奈?」
「下からDVD取ってくる。」
「夜逃げ○がいいな。」
「…もって来たら、出かけてくれる?」
俺は時計を見る。
午後3時15分。
「いいよ。その代わり、6時からね。」
すると、彼女はうれしそうな顔をして部屋を飛び出していく。
その間に俺はDVDがすぐ見れるように用意をする。
「誠。もってきたよ、夜逃げ○」
「見よっか。」
今、俺は笑えて言えたのだろうか。
DVDのCMを美奈が早送りをしている。
美奈。ごめんな。


「うー。さむーい!」
美奈は犬の綱を引きながら、俺の一歩先を歩きながら肩をすくめた。
「当たり前だ。冬なんだから。」
そう言うと、美奈はそっか、そうだね。といいながら、俺に笑いかける。
6時15分。
今、美奈と人通りの無いところを歩いている。
「なぁ、美奈。」
「なに?」
「ん?高台に行こっか」
「変なことしないでね〜」
「自意識過剰。」
「ひっどーい!!!」
そんなことを言い合いながら、俺は美奈の前を歩く。
息が白い。
まだ。
まだ…時間はあるのだろうか?
「きれーーー!」
「だろ?」
「これの為に、出かけなかったの?」
俺は頷く。
美奈は寒さのせいで赤くなったほっぺをさらに赤くさせる。
「綺麗だろ?」
「うん。ありがとうね、誠!」
美奈の笑顔が身にしみる。
「みーな。」
美奈はくるっと振り向いた。
不意打ちで、彼女の口に俺の口をそっと触れさせる。
彼女の驚いた顔は、すぐに笑顔に戻り、怒ったふりをして俺を追いかける。
幸せな時。
そして、はしゃぎ疲れて二人でベンチに座る。
「なぁ、美奈。」
「何?」
「一ヶ月前のこと覚えてるか?」
「覚えてるよ〜。二人で買い物に行って、いいものが無かったって何の収穫も無く家に帰ったときでしょ?」
「ほんとに?」
「へ?」
彼女は俺に、不思議そうな顔を向ける。
「ほんとに、家に帰った?」
「か…帰ったよ。二人で。」
「美奈、よく思い出せよ。」
「帰ったよ!帰った!!誠、どうしてそんなこというの!?なんかの冗談?変な冗談言わないでよ!」
そういい、彼女はベンチから立ち上がる。
「美奈。思い出せよ。」
そういうと、美奈ふりかえって、俺の頬を叩く。
高い音が鳴り響く…はずだった。
彼女の手は俺をすり抜ける。
「うそ…」
「ほんと。美奈はもう俺には触れない。」
「やだよ!やだ!!どうして!?どうして!!??」
俺は笑って混乱する美奈に優しく言う。
「一ヶ月前のこと、思い出せよ。」
「…一ヶ月前……?」
美奈は目を閉じる。
「トラック…が…目の……前………」
美奈の表情が凍る、そして座り込んでしまった。
「美奈!!」
美奈にさわろうとするが、すり抜ける。
「ごめん。ごめんな。こんなやり方で…」
「まこ…と…。ごめん…なさい…」
「美奈…?」
「私のせいだから…一ヶ月も…私に縛り付けて…」
美奈の目から涙が流れる。
「違う。俺が望んだ。美奈が壊れてしまいそうだったから。」
「どうして!?私のせいで死んだんでしょ!?どうして私を恨まないの!?」
美奈を叩こうとするが、空で動きを止めた。
俺は笑う。
「美奈、大好きだよ。」
「知ってるもん。」
「俺の部屋の、机の中。後で見といて」
美奈が不思議そうな顔で俺を見る。
「美奈。俺はお前を愛してるよ。」
美奈は頷く。
「だからさ…」
「笑えよとか、べたな事言うんでしょ?」
「そのとうり。」
「ばか。」
そういって彼女は笑った。
「バカ美奈。幸せになれよ。」
さて。最後の言葉と共に俺は消えた。
んー神様、あと一分くれても良かったんじゃねぇの?
ま、いいけど。

The later story 後書き

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Copyright(c) 2005/12/24 Rai touma All Rights Reserved.








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